3月31日 倉沢林道、敗退

   少し遅く起きた。外は雪である。あちゃー!倉沢に行くのになあ・・・・・。

ここ数日前から、通勤の電車の中で倉沢を思い続けていた。倉沢は日原の支流の沢で、もちろんキャンプ場ではない。昨年は別にして、ここ数年、年に何回かは釣りやキャンプに出かけていた場所である。最初に行ったのは、柚木の河原で知り合った”沢屋”さんに沢歩きに連れて行って貰ったときだった。ヘルメットに8カンだハーネスだと初めて手にし、初めて使う道具をドサッと与えられ、ローピングの講習を1時間ほど受け、魚止めの滝までを遡行した。6月の中旬で、ミズナの群生に歓声をあげたり、イワゴロモ、イラクサ、山椒の若葉と山菜を採りながらノンビリと歩いた。もう5年くらい経つかなあ・・・・。

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今回はどうしても、倉沢の奥でテント泊をしたかった。雪は降り続いていたが、積もることはないだろうと考えて出発した。奥多摩に着くころは結構の降りで、山は冬である。奥多摩駅を過ぎて日原街道に入ると、道路には雪が無いものの、山の斜面には既に雪が積もりだしている。ちょっとヤバイかなあという気がしてきた。心配しつつも、林道を進んでいくと、やはり下界と違って自分が解放されていく感じが全然違う。天候のせいで、普段なら何台か見かける釣り人の車もほとんどなく、倉沢林道の入り口に到着した。しかし、なんと!到着してみると林道の入り口は工事で通行止めになっていた。車を看板の手前に止めて、少し歩いて林道に入ってみた。とくに崖崩れも無いようなので、工事用の看板をよけて車で奥まで入ってみることにした。明日は日曜日だから、看板を元に戻しておけば人が来ることも無いだろう。

     

スタッドレスタイヤをはずしたばかりで、雪道を走るというのはタイミングが悪かったが、いつもテントを張っている場所まではスリップすることもなく、問題なく到着。この辺りまで来ると川と林道はだいぶ近づいてきていて、いつもならそれ程苦労することなく川まで降りられるのであるが、今日は違っていた。昨年の大雨で川の様相が全く様変わりしていた。なにより、下を見てもテントを張れそうな場所がまったく無くなっているのである。まあ、今日の目的はどんずまりまで行ってのテント泊であるから、車に戻り先に進むことにした。魚止めの滝を左に見る橋の所まで来ると、道はもう真っ白で2cmくらいの積雪である。タイヤが少し滑り出した。橋を過ぎ大きく左にカーブをするやや急な坂道を登り始めたら、今度は倒木が道をふさいでいた。車を止め、鋸で切ってなんとか通れるようにする。カーブを曲がりきると、あと1kmほどで終点である。しかし、今度は崖崩れである。無理して行けば行けないことは無い感じだったが、雪が積もったこの林道をこれ以上進むのは無理と判断して、引き返してきた。

    

なんとも心残りのする行動だったが、まあ、良しとしようではないか。1年半ぶりに訪れた川は相変わらずの渓相だったし、車で来てもこんなに解放される場所であるというのは変わっていなかった。山菜の時期にまた来よう。